ネステナーの事故防止
強度アップ法

ネステナーの事故防止 / 強度アップ法と点検方法を紹介!

(1) ネステナーの強度と事故防止方法は?

ネステナーの事故をどうやって防止していくのか。ネステナー導入の際には当然考えることだと思います。ネステナーは不安定に見えて実は地震に強いという特徴があります。実際に大きな震災時に他のラックが倒壊してもネステナーが倒壊しなかったという事例があるほどです。ネステナーはいろいろなオプションパーツがあり、事故防止の観点で強度アップすることができます。
この記事ではネステナーの安全性がどうやって確保されているのか、事故防止の強度アップをどのように行っていくのかを解説しています。この記事を読めばネステナーを使用するうえでの安全対策、オプションパーツの有効的な活用方法が分かるようになります。参考にしてみてください。

(2) ネステナーで想定しておく事故とは

2-1) 地震による倒壊と落下物事故

日本は世界で最も地震の多い国です。年間通しても地震が一度も起きないことなどなく、数年おきに各地で大きな地震が起きています。
ネステナーに限らず、倉庫で大きな荷物を保管するうえで地震対策は重要です。
地震で想定しておくことは段積みされた【ネステナーの倒壊】と、揺れによる【荷物の飛来・落下】による事故です。

背の高いラックは揺れた反動で荷物が動きます。ネステナーは耐震力があり、そう簡単に倒壊はしませんが、揺れによる荷崩れや荷物の落下には注意が必要です。

2-2) 地震以外の倒壊事故

倒壊事故は地震以外でも起きることがあります。

・耐荷重を超えた荷物の積載
・支柱の腐食・劣化
・フォークリフトの衝突などによる支柱の破損
・ネステナーが正しく重ねられていない

このような場合、ネステナーが倒壊してしまう恐れがあります。

ネステナーは各メーカーによって規格や耐荷重に違いがあります。使用方法を必ず守ることが事故防止には大切です。どんなに優れた強度があっても正しく機能しない状態では事故を防ぐことはできません。

2-3) 地震以外の落下物事故

地震による揺れがなくても荷物が落下してしまうときがあります。
荷崩れや荷物の上げ下ろしの際の振動によりパレットや荷物が崩れる、または少しずつズレていくことがあります。そのままにしておくとネステナーの側面や荷台の隙間から荷物が落下してしまうことがあります。高く積まれたネステナーからの落下物は小さなものでも人に当たれば重大な事故につながります。
地震以外の視点でも落下物による事故の対策は必要です。

(3) ネステナーの耐荷重の強度アップ法

3-1) 基本的な耐荷重

一般的には耐荷重1000㎏のネステナーが主流となっています。
【1台当たりの耐荷重】と表記されている場合は、段積みした合計を計算するのではなく各ネステナーに1000㎏積載が可能という意味になります。
段積みできる数もネステナーによって決まっています。段積みできる数は耐荷重の重要な要素ですので必ず確認しましょう。

3-2) ネステナーの耐荷重強化

ネステナーの耐荷重はメーカーやサイズ、規格によって異なることがあります。背の高いネステナーや一般的な企画と違う特注や特殊な形状のネステナーは耐荷重が下がる傾向があります。
受注生産してくれるメーカーでは要望に合わせたネステナーを制作してくれるところもあり、耐荷重を1000kg以上に強化出来る場合があります。構造上の強化は生産メーカーに相談してみましょう。

(4) ネステナーの耐震強度の仕組み

4-1) ネステナーの免震構造

ネステナーは地面や壁に固定して倒れないようにするのではなく、あえて揺れやすい部分を造ることで揺れの力を上手に逃がして倒壊を防ぐ【免震構造】となっています。
最下段はアンカーで固定しないことで揺れに合わせて地面の上を動きます。段積みされたネステナーもきっちりロックするのではなく揺れに対して動くように、揺れても落ちにくいように設計されています。

4-2) ピン式のネステナー

ネステナーの耐震力は免震構造を基本としています。そのため段積みする際にあえてロックは存在せず重ねるだけです。ピン式はネステナーの支柱に【ピン】(またはプラグ)と呼ばれる凸部と凹部があり、それぞれをはめるだけです。地震の際は各ネステナーが動くことで揺れの力を逃がす構造になっています。

4-3) レール式のネステナー

ネステナーを段積みする際に支柱ではなく左右のレールが角度の違う三角の凸状、凹状になっています。ロックはせずにそれぞれのレールに合わせて載せるだけです。
三角のレールの組み合わさる部分の角度が違うことであえてかみ合わないように設計されています。かみ合わないことで本体が動き、揺れを吸収して倒壊を防ぐ構造になっています。ピン式より耐震力が高いとされ、大きな震災時に倒壊しなかったネステナーの多くがこのレール式を取り入れています。

(5) ネステナーの耐震強度アップ法

5-1) 免震機能を強化

ネステナーの揺れを防ぐには【基底面積を広げる】方法か【免震機能を高める】方法があります。
ネステナーにはネステナー同士をつなげることができる【連結金具】や【連結バンド】があります。平面的に複数のネステナーをつなげることで規定面積を広げて倒壊しにくくなります。
免震機能を高めるために【耐震マット】というオプションパーツがあり、最下段のネステナーの下に敷くことで揺れを吸収してくれます。

5-2) 揺れによる荷物落下を防止

地震による荷物の落下を防ぐには荷物がネステナー外に放り出されないようにする対策が必要です。地震による荷物落下はネステナーが揺れることで載っている荷物も動き、ネステナーの外に飛び出してしまうために起きます。
パレットで荷物を保管している場合は【パレット飛び出し防止クリップ】を荷台の淵に取り付けることでパレットの動きを制限し、荷物が外に飛び出るのを防ぎます。
他にも【ガード】を取り付ける方法があります。ガードはパレットや大きい塊が動くのを防止する中柱タイプと、1面を覆う網状タイプや壁タイプのガードがあります。

(6) ネステナーの倒壊防止強度アップ法

6-1) ネステナー破損の対策

ネステナーを破損させる主な要因はフォークリフトの衝突やネステナー同士の衝突です。
ネステナーが衝突するのはネステナーを動かしているときです。ネステナーがきちんとフォークに乗っていない状態や旋回した遠心力によって、フォーク上のネステナーがズレてしまうと他のネステナーにぶつけてしまう原因になります。
オプションの【フォークガイド】を取り付けてもらうことで移動中もネステナーのズレを防ぐことができます。 移動時のズレを防ぐことでネステナーが破損するリスクを減らすことができます。

6-2) 衝突による倒壊の対策

ネステナーが強い衝撃や振動を受けたときに段積みされたネステナーが崩れるのを防ぐ必要があります。免震構造によりある程度の揺れには強いネステナーですが限度があります。
ピンやレールが完全に脱落してネステナー自体が落下するのを防ぐため、段積みされ、上下に接している2台のネステナーレール部を【連結金具】や【連結バンド】で固定します。これによってネステナーの免震機能を超える揺れが生じてもネステナーが外れて落下するのを防ぐことができます。

(7) ネステナーの落下物防止強度アップ法

7-1) 荷崩れによる落下物の防止

荷崩れによる落下物を防ぐには、荷崩れしない積み方を検討することが第一です。それでも万が一崩れてしまうことも考慮して、荷物が落下しないようにする適切な形状の【ガード】を取り付けて対策を行います。特に転がりやすい円筒形や球形の荷物は転がらないように対策をしておきましょう。

7-2) 振動による荷物落下の防止

荷積みやネステナーを移動する際の振動によって荷物に少しずつズレが生じ、小さい荷物が落ちてしまうことがあります。この場合地震や強い衝撃が加わったときのように横に大きな力は働かず下に落ちます。ネステナーはそのままの状態だと骨組みだけなので何かが転がれば容易に下に落ちてしまいます。
ネステナーの荷台にベニヤやゴム製のボードを敷いておくことで小さな荷物が下へ落下するのを防ぐことができます。ボードは落下防止だけではなくパレットにかかる重さも分散してくれるのでパレットの破損も防いでくれます。

(8) ネステナーの点検方法

8-1) 接続部の緩み

ネステナーを段積みする際の接続部となる【ピン】や【レール】が本体にしっかりついているかを点検します。接続部の部品に緩みや破損があると免震機能が正しく機能せず、地震や衝撃が加わった際に上段に積んであるネステナーが落下してしまいます。
接続部の部品に異常がないかを点検しましょう。

8-2) 錆びや腐食

ネステナーの骨組みに錆びや腐食によって弱っていないか点検します。
ネステナーの骨組みは1本たりとも無駄なく、それぞれに役割があって支え合って耐荷重や耐震力を保っています。錆びや腐食は見た目にはわかりにくいですが鉄の強度を失ってしまいます。
錆びや腐食があった場合は見逃さずに修繕や対策を行いましょう。

8-3) 折れ曲がり変形

ネステナーの骨組みが衝突や重みによって折れ曲がりや変形していないかを点検します。
錆び・腐食同様に骨組みに折れ曲がりや変形はネステナーの強度を下げてしまいます。特に段積みされたネステナーの下の段の支柱には上段の重みもかかっています。そのままにせずネステナーの交換や修繕を行いましょう。

8-4) 接続部はきちんとはまっているか

ピン式やレール式の接続部がしっかりとはまっているかを点検します。
ネステナーを段積みした際に接続部がしっかりはまっていないとちょっとした振動などでレール外れの発生や地震が起きたときに耐震力を発揮できないことがあります。接続部がきちんとはまっているか、何かの拍子にズレたりしていないかの確認を行いましょう。

(9) ネステナーの事故防止強度アップ法【まとめ】

ネステナーの耐荷重は一般的な荷物であれば十分な機能があり、地震にも強い構造を持っています。それでも倒壊や荷物の落下が絶対に防げるわけではありません。各メーカーが事故防止の強度をアップするオプションパーツを考案しています。ネステナーに限らず大きな荷物を管理するには安全対策と点検が大切です。今回の記事を参考に事故防止の強化と対策に役立てていただければと思います。