フォークリフトでの
積み上げ方
フォークリフトでの積み上げ方 / ネステナーの取り扱い
2)ネステナーの種類
2-1. 正ネステナー
2-2. 逆ネステナー
2-3. ピン式
2-4. レール式
3)ネステナー積み上げの基本手順
3-1.基本手順
3-2.正ネス逆ネスの違い
3-3.基本的な積み上げ手順の注意事項
4)ピン式ネステナーの積み上げ方
4-1.ピン式積み上げ時の基本手順
4-2.ピン式積み上げ時の注意点
5)レール式ネステナーの積み上げ方
5-1.レール式積み上げ時の基本手順
5-2.レール式積み上げ時の注意点
6)ネステナーの収納方法
6-1.正ネステナーの収納方法
6-2.逆ネステナーの収納方法
7)ネステナーのフォークリフトでの積み上げ方【まとめ】
(1) ネステナー(ネスティングラック)の積み上げ方
倉庫の保管スペースを有効活用できるネステナーの導入を検討する際、実際にどのように積み上げるのか手順を知っておきたいと思いませんか?実際ネステナーをフォークリフトでどのように積み上げていくのかという情報はほとんど掲載されていません。
この記事では基本的なネステナーの種類として【正ネステナー】と【逆ネステナー】、接続部の種類として【ピン式】と【レール式】についての積み上げ方について解説しています。この記事を読めばフォークリフトでネステナーを積み上げる基本的な手順と注意事項が分かります。参考にしてみてください。
(2) ネステナーの種類
2-1) 正ネステナー
荷台が下にあり4本の柱に囲まれているタイプのネステナーです。固定されて落下の危険がない荷物であればネステナーに載せたまま移動することも可能です。積み上げていく際はフォークリフトで支えている面と接続部が近いので合わせやすい構造になっています。
2-2) 逆ネステナー
荷台が上にあり4本の柱が脚のように荷台を支えているタイプのネステナーです。荷台の上に囲うものが何もないので荷物を載せたままの移動には適していません。積み上げていく際はフォークで支えている面と接続部が遠く、揺れなどによりやや合わせにくい場合があります。
2-3) ピン式
ネステナーの4本柱の先端と末端にある凸部と凹部をはめ込んでネステナーを積み上げていきます。ピン式は凸部が上にあるのが主流で【上ピン式】とも呼ばれます。逆に凸部が下にあるものは【下ピン式】と呼ばれます。他にも上に受け皿型の凹部があり、上に載るネステナーの脚をはめ込む方式などいろいろな形状があります。今回の記事では一般的に多い【上ピン式】を基準に解説していきます。
積み上げの際は上から下へ、積み上げるネステナーをピンに合わせて下ろします。ピンの位置を合わせる技術が必要です。場所が合えば下ろすだけなので積み上げたネステナーが揺れる等のリスクは少ない固定方法です。
2-4) レール式
ネステナーを正面から見て手前から奥へ伸びている鉄骨(以後レールと表現します)が上下各2本ずつあります。各レールが上向きの三角屋根のような形状になっていて、それを重ねて積み上げていきます。上下に重なる三角の角度があえて違う角度で完全にはかみ合わないようになっています。そのため地震があっても個々のネステナー動くことで揺れを逃がしつつ、接続部も外れにくい耐震構造となっています。
積み上げの際は手前から奥へ水平にレールの位置を合わせます。レールを合わせるだけで位置は決めやすい構造です。見えにくい奥にあるストッパーまでネステナーを水平移動させるので、フォークリフトの力加減の技術が必要です。
(3) ネステナー積み上げの基本手順
3-1) 基本手順
- 荷台の下にフォークを入れて持ち上げます。ネステナーのバランスをよく見て安定していることを確認しながらゆっくりと持ち上げます。60~90cmほどの高さで、床にぶつからずバランスのとりやすいように持ち上げて移動させます。
- 積み上げたいネステナーの正面まで来たら、置いてあるネステナーと積み上げるネステナーの柱の位置をできるだけ合わせておきます。積み上げる際に柱の位置が目安となります。
- 置いてあるネステナーの最上段より5~10cmほど高い位置まで上げます。ピン式のピンやレール式の突起部分は下から見えにくいので引っかからないようによく確認します。
- 持ち上げたネステナーの高さを維持したまま、フォークリフトを前進させます。この際下の段のネステナーに引っかかると積み上げたネステナーを押してしまい危険です。ぶつからないか確認しながらゆっくり前進します。
- ピンまたはレールの位置を合わせます。4本の柱が下の段のネステナーとまっすぐになるように合わせると目安になります。
- ゆっくりと下ろします。
ネステナーが安定していることや4本の柱がまっすぐに載せられていること、荷物がフォークリフトから完全に下りていることを確認しながら後退して積み上げ完了です。
3-2) 正ネス・逆ネスの違い
正ネス・逆ネスの大きな違いは荷台が上にあるか下にあるかでバランスが異なるという点です。
積み上げの際は上に荷台がある逆ネステナーの方がバランスを崩しやすくなります。ネステナーに載せる際はゆっくり下ろしながらバランスに異常がないか、正しく載せられているかを確認します。
3-3) 基本的な積み上げ時の注意点
積み上げの際はゆっくりと安全を確認しながら行います。フォークリフトの力は強く周囲にぶつけたりしないように中止します。
積み上げの際に下段や隣に積み上げられているネステナーにぶつかったり、ラッピングされた荷物などをひっかけたりしてしまうと倒壊や荷崩れなどの事故が起きてしまいます。
大切な荷物を保管していることと、落ちてくれば命にかかわる荷物を取り扱っていることを忘れずに、着実に積み上げることが大切です。
(4) ピン式ネステナーの積み上げ方
4-1) ピン式積み上げ時の基本手順
- 載せるネステナーを置いてあるネステナーの正面まで持ってきいき、柱の位置を合わせます。
- 載せるネステナーを置いてあるネステナーの最上段より5~10cm高く持ち上げます。
その際にピンに引っかからないように注意します。 - 高さを合わせたら前進します。
奥にストッパーがついているタイプはストッパーに軽く当たる位置を目安に進みます。
その際強く押し込むと積み上げたネステナーが揺れてしまうので加減が必要です。
ストッパーがない場合は前2点のピンが合う位置を目安にします。前2点が合えば必然的に後ろのピンも合います。 - 位置が決まったらピンがはまることを確認しながらゆっくり下ろします。完全にフォークリフトからネステナーが下りる前に上下ネステナーの柱が一直線になっていて、正しい位置に載せられていることを確認します。
- ネステナーを完全に下ろしたらゆっくりと後退し、積み上げ完了です。
4-2) ピン式積み上げ時の注意点
ピンがしっかりはまっていない状態で下ろすとネステナーはバランスを崩して落下してしまいます。特に逆ネステナーの場合は頭が重いので傾きによる落下リスクが高くなります。
目安にする際は必ず2点以上のピンが合っていることを確認します。1点だけしか見ていない場合、他の3点がはまっていない可能性があります。
うっかり事故を防ぐためにもネステナーを下ろす際はゆっくりと、バランスを見ながら下ろすようにします。
(5) レール式ネステナーの積み上げ方
5-1) レール式積み上げ時の基本手順
- 載せるネステナーを置いてあるネステナーの正面まで持っていき、柱の位置を合わせます。
- 載せるネステナーを置いてあるネステナーの最上段より5~10cm高く持ち上げます。
その際にレールの突起に引っかからないように注意します。レールは三角屋根のような形になっているので見えにくく高さも錯覚しやすい特徴があります。レール部に引っかからないように十分間隔のある高さにします。 - 高さを合わせたらレールの中間まで前進します。
中間まで進んだらレールが合っているか確認するためぎりぎりまで下ろします。この時完全に下ろさず、わずかに浮いている状態にします。 - 一般的なレール式は奥にストッパーが付いています。ストッパーに軽く当たる位置を目安に進みます。その際強く押し込むと積み上げたネステナーが揺れてしまうので加減が必要です。
- ストッパーに軽く当たる位置まで来たら完全にフォークからネステナーが下りる前に上下ネステナーの柱が一直線であること、ネステナーが前に飛び出していないことを確認します。
- ネステナーを完全に下ろしたらゆっくりと後退し、積み上げ完了です。
5-2) レール式積み上げ時の注意点
レール式はレールを合わせて奥に押し込むことで積み上げるので、ストッパーに強く当てすぎないように注意が必要です。勢いや強い力で押されると積み上げられたネステナーが揺れてしまいます、ネステナー自体はその程度で落下しなくても載っている他の荷物は荷崩れや落下の危険があります。ストッパーだけを目安にするのではなく上下の柱の位置とゆっくり下ろしてバランスを確認することが大切です。
(6) ネステナーの収納方法
6-1) 正ネステナーの収納方法
上段のネステナーを持ち上げます。ネステナーは手前の間口が広く作られているので【前の柱1本分】フォークリフトを後退させます。上のネステナーが【手前】にズレた状態になり、そのまま下ろすと重ねることができます。
収納場所までネステナーを運びます。収納されているネステナーの正面側からネステナーを持ち上げます。収納されているネステナーの前の柱1本分【手前】まで進み、下ろすことで重ねて収納することができます。
6-2) 逆ネステナーの収納方法
上段のネステナーを持ち上げます。ネステナーは手前の間口が広く作られているので【前の柱1本分】フォークリフトを前進させます。上のネステナーが【奥】にズレた状態になり、そのまま下ろすと重ねることができます。
収納場所までネステナーを運びます。収納されているネステナーの正面側からネステナーを持ち上げます。収納されているネステナーの前の柱1本分【奥】まで進み、下ろすことで重ねて収納することができます。
(7) ネステナーのフォークリフトでの積み上げ方【まとめ】
ネステナーにはいろいろな形状のものがあり、今回は一般的に多い【正ネステナー】【逆ネステナー】【ピン式】【レール式】についてまとめました。これ以外にも高さや形状の違うネステナー、取り扱う荷物に合わせた特注ネステナーなどがあります。
どのようなネステナーでも積み上げ方の基本は同じです。しっかりと接続部分が重なり、バランスが取れていることを確認しながらゆっくりと行うことが大切です。
今回の記事を参考に安全で便利なネステナーを効果的にお使いいただければと思います。